はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

迷子のヒナ 31 [迷子のヒナ]

楽しい気分はみるみるうちにしぼんで、突如湧いたジェームズへの恋心も胸の奥の、自分でも気付かない場所まで追いやらなければならなくなった。

けど、ジェームズに責め立てられた事で、ここへ来た目的を思い出すことが出来た。パーシヴァルはゆっくりと息を吸い、それから吐き出し、平静を装って口を開いた。

「もちろん、家族のもとへ帰るのさ。そうだろう?肉親がひとりもいない君とは違って、ヒナには僕も含め、家族がいるんだから」
言った途端後悔した。すると分かっていて口にした言葉だったが、ジェームズの予想もしなかった傷ついた瞳に、パーシヴァル自身が打ちのめされてしまった。

「伯爵はそれを望んでいるのですか?」ジェームズは挑戦的な目つきでパーシヴァルを見据え、怒りを押し殺した声で尋ねた。

ジェームズは痛いところを突くな。
あのジジイがヒナを歓迎するはずがない。娘の結婚の事実も認めないままで、どうして孫の存在を認めるというのだ。

「望んでいるかは、まだ分からない。会っていないからね。でも、確認出来次第、喜ばしい報告を持って、ラドフォード伯爵のもとを訪れるつもりだ」誤魔化しきれないのは承知で、こう答えるしかなかった。

「ヒナがそれを望んでいなくても、ですか?」

「ヒナは望まないと?」もちろんそうだろう。誰が自分を見捨てるような祖父に会いたい孫がいるだろうか?

「わかりません。けど、ヒナは……」

ジェームズは言葉を濁したがその後に続く言葉は、パーシヴァルがたったいま思ったことと一緒だろうと想像できた。

「三年前、なぜあの場所に一家はいたと思う?父親に――ああ、ヒナにとってはおじいちゃんだけど――会いに来たからだ。はるばる海を渡って」

実際、その理由は分からなかった。アンはいわゆる深窓の令嬢だったが、誰もが思っていたほど大人しい娘ではなかった。だからこそ、たまたまどこかのパーティーで出会った日本人と恋に落ち、駆け落ちまでしたのだ。意志の強い彼女は、家族を捨て異国の地で暮らすことも躊躇わなかったはずだ。

ただなぜ、一〇年以上経って、戻って来たのかが謎だ。いまさら父親と和解出来るとでも思ったのだろうか?

パーシヴァルは優雅に微笑み、軽い口調で訊いた。「ヒナに会わせてもらえるかな?」

「いいえ。それは無理です。可能性としては、ヒナは伯爵の孫かもしれないが、いまはジャスティンが後見人です。彼が不在のいま、勝手な判断であなたとヒナを引き合すことはできません」ジェームズは間髪入れずに拒否した。

「かもしれない――ではなくて、孫だったとしたら?そうなったら僕の甥っ子みたいなもんだぞ。それでも会うことが許されないのか?」

「ジャスティンが帰るまでは、なにもはっきりさせるつもりはありません」

やれやれ。なんて頑固で忠実な男だ。自分を愛してもくれない男の為に、恋敵であるヒナを守ろうとするとは。馬鹿な男……けど、まあ、そんな馬鹿な男の為に、一旦は引き下がるか。

パーシヴァルは降参のしるしに、軽く両手をあげた。

「ジャスティンが戻ったら、連絡をくれるかな?」

パーシヴァルの言葉に、ジェームズは不承不承といった感じで小さく頷いた。

「じゃ、僕はクラブにでも行こうかな。あっちで、また会えるかな?ジェームズ」

期待に声が震えてしまった。ジェームズに会いたい。会いたいというか、帰りたくない。このまま立ち上がらずにいたら、ジェームズはどうするだろうか?抱き上げてベッドへ連れて行くだろうか?それとも引きずって、ただ追い出すだけ?ジェームズがそんな無礼な事をするはずない。彼の過去がどうであれ、ジェームズは紳士だ。

パーシヴァルがうっすらとした期待に胸を膨らませているなか、ジェームズは黙って立ち上がり、きびきびとまっすぐに戸口まで行くと、恭しくドアを開け、パーシヴァルにさっさと帰れとばかりに冷たい視線を向けた。

結果は分かってはいたが、パーシヴァルの胸はずきりと痛んだ。

つづく


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迷子のヒナ 32 [迷子のヒナ]

黙って発ったのは間違いだったかもしれない。

目的の場所へ近づくにつれ、その思いは大きくなる一方だった。

ジャスティンは窓に当たる雨粒に顔を顰め、カーテンを引いた。向かい側の座席に長い脚を投げ出し、胸元で腕を組んで目を閉じた。

毎年そうしてきたではないか。

ジャスティンは胸の内でつぶやき、昨夜のヒナの姿を脳裏に映しだした。

一線こそ越えなかったものの、あの行為が二人の関係に変化をもたらすことは確実だった。いや、ヒナは変わらないかもしれない。これまでと同じで、うるさくまとわりつくだろう。それを嫌だと思ったことは一度だってない。

変わってしまったのは自分の方だ。

もう少しでヒナを――ある意味では同意の上とはいえ――犯すところだった。

あの馬鹿はあまりに無知で、無邪気で、可愛くて、誘い上手で……それにまんまと乗せられキスをして、流れとはいえ自慰行為までし合う羽目になった。

ヒナは自分の硬くなったものを握り、濡れた瞳でこちらを見つめたまま、ささやかに呻き声を上げたかとおもうと、おずおずと手を動かし出した。

ジャスティンはその姿だけでイキそうになった。堪え切れず呻き声をあげると、ヒナは、そういうふうに声を出すんだね、と感心したように大胆に喘いでみせた。

ジャスティンは笑った。ヒナの行動にはいつも驚かされるが、あまりに間延びした様子に、これがちょっとした色事だということも忘れてしまいそうになった。

ヒナは目を逸らさず、自分がのぼり詰めていく様を見せつけた。同時にジャスティンも弾け、息を切らせ見つめ合いながら、二人は笑い合った。

夜中に二人でシーツを交換して、ヒナを抱いて眠った。朝方、ヒナを自分の寝室に連れて行ったが、なかなか離れてくれず、そのままヒナのベッドでもうひと眠りした。もしかすると離れたくなかったのは自分の方なのかもしれないと、ジャスティンは思った。

おかげで出発が予定よりも一時間遅くなったが、雨の影響で、さらに遅れそうだった。

つづく


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迷子のヒナ 33 [迷子のヒナ]

宿屋に到着した時、雨はさらに強さを増していた。

ギビンズ夫妻の営む<ジョージ&ジョディ>は三年前怪我をしていたヒナを連れて立ち寄った、町で一番小さな宿屋だ。

亭主のジョージが馬車の到着と共に傘を手に表へ出てきた。降りるジャスティンに傘を差し出したものの、戸口へたどり着くまでに濡れずにいることはほぼ不可能だった。

馬車を厩へまわしてから店内に入った、御者兼今回の旅の唯一の同行者ウェインはもっとひどいありさまだった。

「まいったな」中へ入り、外套についた雨粒を払いのけながら、ジャスティンは呟いた。

「旦那、荷物はどうしますか?雨が少し落ち着いてからのほうがいいような気がしますがね」ジョージは人好きのする顔を曇らせ、気遣わしげに外に視線を向けた。まだ午後の早い時間だと言うのに、雨のせいで薄暗い。

「ああ、そうしてくれ」と言って、ジャスティンも窓から外の様子を伺う。まあ、確かに。この雨の中、ジョージの手を煩わせるのは気が引けるし、かといってウェインにこれ以上寒い思いをさせるのも、気の毒だ。

「着替えがいるんじゃないのかい?」ジョージの妻のジョディが、店の奥から顔を出して言った。ふかふかのタオルを手にしている。

「あ、それなら大丈夫です。着替えの入った鞄だけは持ってきましたから」ウェインが戸口で陽気に答えた。ジョディの差し出すタオルを、主人を差し置いて受け取ると、顔にぎゅうっと押し当てた。

ジャスティンはわざとらしく咳ばらいをしたが、ウェインにまったく気にする様子はない。
こういう図々しいところがなければ、ジャスティンの近侍は務まらないということだ。

「寒かったでしょう?お風呂の支度が出来るまで、火のそばへどうぞ。すぐに熱いお茶を入れますからね」ジョディは大きな腰を揺らし、キッチンへ入った。

「ありがとう、ジョディ」

ジャスティンはジョディの背に声を掛け、店の奥の暖炉のそばに歩み寄った。酒場というよりも居心地のいい居間といった雰囲気に、自然と身体の力が抜け旅の疲れがみるみるうちに癒される。木製の飾り気のない椅子に座り、濡れそぼったブーツの紐をほどいた。振り返って見ると、図々しいウェインはすでにブーツを脱いで裸足になっている。カウンターに座って、今度もまた、主人より先にお茶を頂こうっていう腹づもりだ。

ジャスティンはやれやれと首を振り、もう片方の靴紐に手を伸ばした。

おや?

足元に何か丸まっている。毛むくじゃらの何かが……。まるで寝起きのヒナの頭のような――

「ああ、そいつはトビーっていうんだ。クリスマスにうちに来たんだ」
まるで自慢の息子を紹介する時のような誇らしげな声でジョージが言った。

名前を呼ばれたトビーがむくりと起き上り、それがいわゆる、犬だと言われる動物だということに遅ればせながら気付いた。いや、分かってはいたさ。こんな毛むくじゃらの猫がいてたまるものか。

「お互い、似たような子を引き取ったというわけですね」ジャスティンはふっと笑みを零した。

「ああ、そうだっ!うっかりしていたが、お連れさんが部屋で待っているよ」

「連れ?そんなものはいないはずだが……」

「えっ、そうかい?てっきり、あの時の子かと思ったんだが。蜜色の髪の――」

まさかっ!

ジャスティンは勢いよく立ちあがり、階上を見上げた。椅子がガタンと後ろに倒れ、トビーが驚いて飼い主の方へと飛んで逃げた。

「いつもの部屋か?」

返事を聞く前に、二階へと続く階段へ向かう。一段飛ばしで駆け上がりながら、なぜ朝出かける時にはすやすやと赤子のように眠っていたヒナが、先に到着しているのかと、訝しがる余裕は微塵もなかった。

ドアを開けると、窓際のベッドに横たわる子供が見えた。シャツに下履きだけという寝姿。手前のベッドには脱ぎ捨てられた服が散乱している。ジャスティンは部屋にそろりと入った。微かに石鹸の香りが漂っている。暖炉の脇にはバスタブが置かれていた。どうやら風呂に入ったようだ。

キャラメル色の髪は濡れているからなのか、ほとんどまっすぐに見える。おかしい。風呂上がりのヒナの髪が一度だってまっすぐだったことはない。

ジャスティンは思い切って、うつ伏せで眠る子供の肩を掴み、上を向かせた。黄金色の睫毛が震え、緑がかった淡い褐色の瞳が姿を見せた。かつての恋人と同じはしばみ色の瞳に、ジャスティンはハッと息を呑んだ。

「コリンっ!」

なんでこの子がここにいるんだ。

つづく


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迷子のヒナ 34 [迷子のヒナ]

「あれ?ジャスティン……?遅かったね」

そう言ってヒナと同じ年頃の少年は、両腕を頭上にあげ、しなやかに腰を反らせて伸びをした。

「コリン、どうしてここにいる?」ジャスティンは強い口調で尋ねた。

コリンはクレイヴン家の三男で、ジャスティンの恋人だったアンソニーの弟だ。去年会った時は、もっと幼い顔立ちをしていたのに、随分と大人びたものだ。たったいま見せた、わざとらしく媚を売るような仕草にも、この一年の間にコリンが色々な面で成長した事が伺えた。ジャスティンは胸が悪くなった。

「どうせあっちで会うんだし」

のんびりとあくびをし、起き上るどころか、もうひと眠りしようとしているコリンをひっつかんで、ベッドに座らせた。コリンはやれやれと肩を竦め、上目遣いで、もっと丁寧に扱ってよ、とでも言いたげにジャスティンの顔を伺った。

子供ゆえの図々しさは、ヒナと一緒だ。

「学校はどうした?」ため息を吐き出すように問い掛ける。偉そうに言える立場ではないが、コリンは歳の離れた弟のようなもので、心配で尋ねずにはいられないのだ。

「僕は問題児なんだ。ジャスティンと一緒だよ」コリンは声高くカラカラと笑った。まるでジャスティンと同類だという事が嬉しいかのように。

「お前が問題児なのはよく知っている。こうして勝手に人の部屋に入りこんで眠っていたんだからな」ジャスティンは、とげとげしい口調でコリンの不作法を指摘した。

ちょっとやそっとの皮肉には動じないと思っていたコリンが、急に神妙な面持ちになった。

「だってさ……たぶん、もう来年は会えないと思ったから」コリンはそう言ってぷいと顔を逸らし、足元の擦り切れた絨毯に視線を落とした。

「どうしてそんなふうに――」

「思ったのかって?」コリンはジャスティンの言葉を遮った。挑むような目つきでジャスティンに食ってかかる。「去年も思ってたんだ。ジャスティンはもう、兄さんに会いに来ないかもしれないって。それでも今年来たのは、お別れを言うためでしょう?違う?」

違わない。
喉元まで出かかったが、ジャスティンはあえて返事をしなかった。

コリンに心中を見抜かれていたことがショックだった。いったいどこまで知っているのだろうか?一緒に死んでもいいとさえ思った恋人と、たった三年で決別しようとしている理由を知っているのか?

「調べたんだ。ジャスティンのこと」コリンが静かに言った。「別に責めたりしないよ。だって、ジャスティンは兄さんに同情していただけだもん。一緒にいたのは死ぬって分かってたからでしょう?泣きつかれてどうしようもなかった。捨てられなかった――」

コリンの言葉に愕然とした。確かにアンソニーに傍にいて欲しいと泣きつかれもしたが、なぜコリンがそれを知っている?いや、それよりも、コリンが兄に対して憐みのような感情を抱いていたことに、憤ると同時に失望した。

「いい加減にしろっ!俺は同情でアンソニーと一緒にいたわけじゃない。彼は……俺の……大切な人だった。いまはどうあれ、それは変わらない」ジャスティンは声を絞り出した。まるでコリンに大切な思い出を――魂さえも――穢された気分だ。

そして事実、アンソニーを捨てようとしている自分に嫌悪した。

つづく


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迷子のヒナ 35 [迷子のヒナ]

よくよく考えれば、コリンの言い分にも一理ある。一方的に罵られた気分だが、アンソニーとの関係は、恋人という単純な表現では言い表せられないもので、そこには友情や兄弟愛、家族愛が存在していた。もちろん深く愛してはいたが、いまとなってはその愛がどの種類のものだったのか判断できない。

「兄さんより先に僕と出会っていたら、僕を好きになった?」コリンはしばしの沈黙などものともせず訊いた。

「なんだって?俺がアンソニーと出会った時、お前はまだ生まれてもいなかったぞ」
ジャスティンは驚いて目を丸くした。

「違う。その時じゃなくて――子供の頃じゃなくて、大人になってからだよ。ジャスティンが学校をやめて、ここへ戻ってきた時、兄さんと再会したでしょ」コリンは握った拳を振り回し、じれったそうに座ったまま地団太踏んだ。

やれやれ。子供というのは扱いにくいことこの上ない。
ジャスティンが寄宿学校から追い出されたのは十七歳。アンソニーは二十歳。コリンはその時、まだ六歳だ!

「つまらない事を言うな。だいたい、ここへ戻ってきたという表現は間違っている」

クレイヴン家の領地の中に、たまたまバーンズ家の所有する屋敷があって、ジャスティンは束の間そこで過ごした事がある、それだけだ。厳密には七歳から、十三歳で寄宿学校へ入るまでの六年足らず。それと、十七歳で退学になってから数か月そこで過ごし、それからはずっとロンドン暮らしだ。

「じゃあ、兄さんに会いたくて戻ってきたって事?」

「ここしか戻るところがなかったからだ」ため息交じりに言う。確かにアンソニーと再会したが、当時その関係といえば、優しい兄と出来損ないの弟といったものでしかなかった。

コリンはジャスティンの返答が気に入らないのか、むっつりと押し黙ってしまった。
ジャスティンはコリンが絡んでくる理由に薄々気づいていたが、気付かない振りを決め込むことにした。

窓の外を見ると、雨は小雨に変わっていた。
荷物を運び入れる――もしくはコリンから逃れる好機が訪れた。

「荷物を取りに行かなきゃならない。お前はその間に、きちんと身なりを整えて、したにおりてこい」
有無を言わせぬ口調で断固として言い切ると、ジャスティンはコリンに背を向けた。

「荷物は使用人に取りに行かせたらいいのに」コリンが不満げにこぼす。

「俺は自分のことは自分でするんだ。お前と違ってな」振り向きもせずそう言うと、ジャスティンは部屋を出て戸を後ろ手に閉めた。

部屋の中からコリンの悪態を吐く声が聞こえたが、それはまだとても未熟で、到底悪態と呼べるほどのものではなかった。

まったく。学校へちゃんと行かないから悪態のひとつもまともに吐けないのだ。

用事が済み次第、この馬鹿を学校へ送り届けなければ。当然そうするはずの父親がコリンをほったらかしているのだから、自分がそうするほかない。クレイヴン卿は、長男亡き今――いや、アンソニーが長く生きられないと知った時から――次男のジョナサンにしか目を掛けていない。

それはジャスティンがアンソニーと出会った頃からだから、コリンが予備の子供としてこの世に誕生したのは言うまでもなかった。それならそれで、もっと大切にすればいいものを、と思わずにはいられなかった。

つづく


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迷子のヒナ 36 [迷子のヒナ]

バーンズ邸の通りに面した図書室は、広く開放的で、三方の壁を蔵書に囲まれていてもなお、居心地の良い場所だということは、ジェームズもよく知っている。

だからといって、長椅子に寝転がって裸足の足をパタパタさせながら本を読んでもいいわけではない。

「ヒナ、お行儀が悪いぞ」

そう声を掛けたジェームズだが、あまり強く言い過ぎないように注意を払った。これからヒナには真実を語ってもらわなければならない。機嫌を損ねられては困る。

あまりに優しく言い過ぎたのか、ヒナは食い入るように本に視線を落したままで、起き上るどころか顔さえ上げない。

やれやれ。

ジェームズは長椅子の端に腰かけ、ヒナが手にしている本を覗き込んだ。
草花の画集だ。

小娘じゃあるまいしこんなものヒナが喜ぶのか、とジャスティンがこの画集を手に入れた時にそう言ったのだが、どうやらヒナはその辺の小娘よりもこの画集を気にいったようだ。

「ヒナ、本を閉じて、きちんと座りなさい。話がある」

「ねえ、ジャム。この青い花は何?」

ヒナは起き上ったが、膝の上に画集を広げたまま、小さな青い花を指差し尋ねた。

「ブルーベルだ」

「ブルーベル?」ヒナはその言葉を記憶するように反芻し、「ジュスのお部屋と同じ色だね」とにっこりと笑った。

ヒナの関心ごとはすべてジャスティンを中心としているらしい。ブルーベルの青さに惹かれたのは、ジャスティンと過ごした濃密な夜を思い出したからだろう。

実際、二人の間に何があったかは知らないし、想像すらしたくない。どちらにせよ心を通い合わせている二人の間に、割って入ることなど出来ないのだから。

ジェームズは諦めの悪い自分にうんざりしつつ話題を変えた。

「それよりヒナ、ダンの芸術作品をどこへやった?」

ほんの一時間前まではヒナの首にあったはずの純白のリボンがない。あんなふうにクラヴァットを結ぶダンにヒナはよく耐えていると思ったが、ついに限界が来たのだろうか?

「んっ?」ヒナはなんのことといったふうに、胸もとを見下ろした。

そこで二人同時にハッとした。機先を制したのはジェームズ。

「そのシミはどうした?」

よく見ると、胸のあたりだけではなく、お腹の方まで茶色いシミが点々としている。だらしないどころではない。これではまるで浮浪児のようではないか。シャツの裾はズボンから出ているし、なんといっても裸足だ!ジェームズにとってこれだけは許し難かった。

ヒナは言い訳を探すように目をぐるりと回すと「えーっと、シモンとお茶飲んでて……」と結局言い訳が見つからなかったのか、言葉を濁した。

「こぼしたのか?」一瞬咎めようかとも思ったのだが、結局は呆れ果てた口調になってしまった。

「うん」ヒナはまるで褒められでもしたかのように、陽気に答えた。

「とにかく、本を脇へ置いて、靴下をはきなさい」そう言って立ち上がると、ジェームズはヒナの目の前の席へ移った。

ヒナは絨毯から拾い上げた靴下を渋々といった感じではくと、ソファに行儀よく座り直し、ジェームズに向き合った。

「ヒナ、怒られるの?」心配そうに尋ねるヒナだが、口調ほどは気にしていないようだ。

「いいや。ただ質問に答えて欲しいだけだ。コヒナタカナデ……それがお前の名前か?」

ヒナの表情が目に見えて変化した。色白の顔からすっかり血の気が引き、見開いた目は驚きと怯えの入り混じった色を隠せずにいる。

わかりやすい子で本当に助かった。

どうやらヒナはラドフォード伯爵の孫で間違いないようだ。

つづく


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迷子のヒナ 37 [迷子のヒナ]

小日向奏――それがヒナの名前だということに、間違いはなかった。ヒナはゆっくりと頷いた。

けど、どうしてジャムにばれちゃったんだろう?もしかするとお父さんとお母さんが迎えに来てくれたの?ううん。そんなはずない。あの時……助けを呼んでくるといって這い出た馬車の中で――

そして僕は助けを呼びに行けなかった。気がついたらベッドの上で、目の前には心配そうに覗き込むジュスがいた。その時は名前も知らない見ず知らずの人でしかなかったのに、安堵の色を浮かべた黒い瞳に見つめられるうちに、ああここは安全な場所なんだとすぐに分かった。

起き上がろうとしたけど、身体は全然動かなかった。最初はベッドに縛り付けられているのかと思ったけど、そうではなかった。全身が痛くて動けなかったのだ。少し身じろぎしただけで頭はガンガンするし、手を上げようとしたら包帯を巻かれた指先がズキズキと痛んだ。そこを見ると血が滲んでいて、それだけで気を失いそうになった。

実際、気を失ったんだと思う。

ヒナ過去から現在に戻り、名前を聞かれた理由を幾通りも考えてみた。ジェームズにちらりと視線を向けると、小さく溜息を吐くのが見えた。

「どうして今まで黙っていた?」ジェームズが沈黙を破った。問い詰めるというよりも、ただ単に理由を知りたいといったふうだ。

「言った。最初に」ヒナはそっけなく答えた。この話題に触れて欲しくなかったからだ。

「ああ、そうだったな。それをジャスティンが聞き間違えたってわけだ。お父さんとお母さんの名前は?」

ジェームズの皮肉にヒナはムッとした。けどその皮肉が誰に向けられたものか判断がつかない。ヒナがきちんと喋れなかったからなのか、ジャスティンがヒナの言葉を理解できなかったからなのか……。

「草助。杏」
ヒナは両親の名前を口にして、恋しさと切なさに胸が締めつけられた。

「ソウスケ、アン……お母さんは、アン・ラドフォード?」ジェームズは身を乗り出した。

「違う。ラドフォードじゃない。小日向杏!」ヒナは反発した。ラドフォードなんて知らない。「小日向だよ……」もう一度自分に言い聞かせるように口にした。でも本当はそうなの?お母さんはラドフォードっていうの?ジャムはその答えを知っているの?

「ヒナよく聞きなさい」ジェームズはひと呼吸おいた。「ジャスティンと出会った時のこと、その直前いったい何があったか全部話すんだ。今回はだんまりは通用しないからな」

言葉はいつもと同じで厳しいのに、口調はいやに優しかった。その事がかえってヒナを不安にさせた。

「で、でも……」

「ジャスティンと離れたいのか?」ジェームズは硬い口調で感情を込めずに言った。それがいつもの脅し文句と違うことは、ヒナにも容易に理解できた。

「やだっ!」誰にもそんなことさせない。カッとなったヒナの顔が真っ赤に染まる。まるで癇癪を起した幼子のようだ。

「だったら話しなさい。全部把握しておかないと、対策の立てようがない」ジェームズは片手を髪の毛に挿し入れぐしゃぐしゃと掻き乱した。

ヒナは動転した。ジェームズの髪が乱れた姿を初めて見たからだ。いつも完璧なジェームズの金髪が賢そうな額を隠し、その顏に影を作った。青い瞳に絶望にも似た色が見え、ヒナはパニックになった。

「ヒナ、帰らないといけないの?お父さんが迎えに来たの?そうなのっ!」

昂った感情が抑えられず、ヒナは悲鳴のような声をあげ、ジェームズの言葉を待った。そんなはずないと脳内で繰り返される言葉に身体が引き裂かれそうになる。これまで無頓着を装い、ジャスティンと出会う前までのすべてを意図して忘れていたのは、両親の死を受け入れたくなかったからだ。

そんな事実を受け入れるくらいなら、捨てられたと思っている方がマシだった。けど、もう、それも終わり。

ヒナはジェームズの困惑しきった視線から逃れるように両手で顔を覆うと、三年前の記憶が脳内から流れ出るままに任せた。

つづく


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あとがき
こんばんは、やぴです。
ヒナは日本語でちょいちょい喋ってると思う。
特に感情が昂ぶったときなんかは…

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迷子のヒナ 38 [迷子のヒナ]

ジェームズは初めてヒナを抱きしめてやりたいと思った。

実際、ジェームズは無意識のうちに立ち上がって、ヒナの傍に歩み寄っていた。隣にそっと座ると、硬く強張ったヒナの身体を抱き寄せた。

ヒナは両親が亡くなった事を知らないのだ。そんな子にどうやって真実を伝えればいい?ジャスティンならどうする?ジェームズはかぶりを振った。考えてみても仕方のないことだ。ジャスティンはその存在だけでヒナを慰撫することができる、唯一の存在だ。

「お父さんは来ていない。お母さんも。帰らなければいけないのかどうかは、まだ分からない。パーシヴァルがどう出るか分からないからな。けど、その前に、ヒナの事を知る必要がある」

ヒナの身体が、ひとつ、ぴくりと反応した。両手に埋めた顔を上げ、濡れた瞳にわずかに好奇心をのぞかせ尋ねる。

「パーシーが……なに?」
声に不快さが滲む。どうやらようやく、先だっての訪問者が、平穏な日常を打ち破った張本人だと気付いたようだ、

「彼が言うには、ヒナのお母さんとはいとこ同士らしい」

ヒナはそれを聞いて、何か考え込むように黙り込んでしまった。けど、ジェームズは急かさなかった。ヒナはきっと喋る。

ふいに視線を感じた。顔を上げ戸口を見ると、ホームズが面長の顔をわずかな隙間に挟み込んで、心配そうに覗き見ていた。眉間に寄せた皺は年齢的なものなのか、憂慮ゆえのものなのかは判断つきかねるが、あれは、よくない事が起こっていると確信している顔だ。

ジェームズは、あとで説明するから今は邪魔するなと、眼光鋭くホームズを睨みつけた。ホームズは挑むような視線を返してきた。絶対に説明してもらいますからねといった具合だろう。そして次の瞬間にはホームズは姿を消し、戸はぴたりと閉じられた。

「嘘だ……」ヒナが掠れた声で言った。

「嘘?どうしてそう思う?パーシヴァルはヒナの名前を知っていたんだぞ」

「誰かに聞いたのかも!だって、誰も僕のこと知らないのに……あれ?」ヒナは自分の矛盾した言葉に気付いたのか、眉間に皺を寄せ小首を傾げた。

ジェームズは思わず微笑んだ。いつまでもヒナの肩を抱いていては、あとあと問題になりかねないと、ゆっくりそっと手を浮かせた。

「そうだ。誰も知らないはずのヒナの名前を知っていたんだ、パーシヴァルの言葉を疑う理由はない」

それよりも、わざわざ名乗り出て来た理由の方が気になる。いったい何を目的としているのか?彼はヒナを『甥っ子のようなもの』と言っていたが、果たしてそんなふうに思っているのだろうか?

「ヒナは、パーシーのこと、知らない」

「パーシヴァル以外の誰かのことは知っているのか?」

「おじいちゃん」

「伯爵のことを知っているのか?」会いに来たのだから知っていて当然なのだが。

「はくしゃく?知らない」

「ヒナのおじいちゃんは、ラドフォード伯爵なんだ」

ヒナはやっぱりピンとこないようで、またまた首を傾げた。

つづく


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迷子のヒナ 39 [迷子のヒナ]

ヒナから話を聞きだしたジェームズは、ひとり書斎に戻った。

悲しい事実を受け入れる準備は出来ていないと判断して、ヒナに両親の死は告げなかった。告げられなかったといった方がいいだろう。たとえヒナが薄々そのことに気づいていたとしても、こんな嫌な役目は御免だ。

ジェームズは引き出しから便箋を取り出し、羽ペンを手にした。ジャスティンに急いで戻ってくるように手紙を出すのだ。状況は思ったよりも切迫している。

「お坊ちゃまにいったい何があったのですか?ジェームズ様」
ホームズがせかせかと書斎に入って来た。机の前に立ち、詳細を聞くまではてこでも動かないぞといった構えだ。

ジェームズはかまわず手紙を書き進めた。内容はいたって簡潔。ヒナの身元が判明したから、急いで帰れ。それだけだ。

「ホームズ、まあそう焦るな。まったく。誰もかれもがヒナのこととなると血相を変えて」ひと息ついて、ペンを置き、顔を上げた。

「そういう、ジェームズ様も」とホームズはバーンズ家の執事らしく居丈高に言った。

「ジャスティンは血相を変えるどころじゃないぞ。ホームズ、説明の前に、先にエヴァンを呼んでくれ」

「旦那様にお知らせするのですか?」ホームズが意外そうに訊いた。

「そうしなければ、あとで何言われるか分からないだろう!」

「まったく、そのとおりでございます」ホームズは気持ちを込めて頷き、エヴァンを呼びに書斎を出て行った。

ジェームズは手紙を丁寧に二つ折りにし封筒に入れると、封蝋を数滴たらした。素早くジャスティンの印璽で封印し、それを更にひと回り大きな封筒に入れた。

間もなくして、ホームズがエヴァンを連れて戻って来た。陰気ともいえる顔つきでジェームズの前に立ったエヴァンは、全身黒ずくめで、こめかみから頬に掛けて、ナイフで切り付けられた醜い傷がある。数年前、会員のひとりと親密な間柄になり、双方にとって最悪の結末を迎えた。エヴァンはその時のことを一切語ろうとはしないが、嫉妬に狂った男の妻がエヴァンの美しい顔から笑顔を消したのだ。当然醜い傷を負った愛人を男は捨てた訳だが……。

「エヴァン。悪いが、これをウェルマスのジャスティンに届けてくれ」と言って手紙を差し出す。早馬を走らせるなら、その役目を担うのはエヴァンをおいて他にはいない。

エヴァンは無表情のまま「承知いたしました」と手紙を受け取り、早くも踵を返す。せっかちなのは、日暮れまでに目的地へ着こうとしているからなのか、それともただ大好きな馬に一刻も早く腰を落ち着けたいからなのか……。

おそらくは後者。

「早ければ今夜中には着く。手紙を渡したら、その後はジャスティンの指示に従ってくれ」

ジェームズの言葉に振り返ったエヴァンは、もっと早く着けると灰色の瞳で告げていた。年上らしい落ち着き払った視線だった。修羅場をくぐり抜けたという意味ではジェームズも負けてはいないが、こちらは幸いなことに顔は無傷だし、与えられた居場所もエヴァンより遥かにいい。

エヴァンが立ち去ると、痺れを切らしたホームズがずいっと目の前までやって来た。これ以上待たされるのは我慢できないらしい。

とりあえずジェームズは、じれったそうに説明を待つホームズに、傍の椅子に座るように言った。

こちらだって、これ以上、見下ろされるのには我慢ならなかった。

つづく


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あとがき
こんばんは、やぴです。
顔に傷を持つ男エヴァンがジャスティンにメール便を届けます。
あっちはすっごい雨だけど、無事たどり着けるのかしら!?

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迷子のヒナ 40 [迷子のヒナ]

「では、お坊ちゃまはラドフォード伯爵の孫だという事ですか?」話を聞き終えたホームズが驚きに満ちた声で言った。

「どうやら、間違いないようだが……にわかには信じがたい。伯爵が娘の結婚を認めなかったというのは、あり得る話だ。だが、駆け落ち、結婚、出産、すべてを秘密に出来るか?」

「事故と死亡についても」とホームズが付け足す。

「そうだ。そこまで秘密に出来るはずがない」とはいえ、現にひとつも事実が明るみになっていない。

おそらく二人は駆け落ち結婚後、すぐに日本へと渡っている。戻ってくるまでの間、まったくの音信不通だったとしたら、ヒナの存在は知らないはずだ。パーシヴァルがそれを知っているという事は、最低でも一度は現状報告のようなものをしていたに違いない。それは帰国直前だったのだろうか?

「調べさせますか?」ホームズが訊いた。

「ああ、もちろん。まずは事故について調べるのが先決だ。いや、ヒナの話からすると、事件だったようだ」ヒナの話は要領を得ず、実際なにが起こったのかは想像の域を越えないが、それでも一家の乗っていた馬車が襲撃された事はほぼ間違いない。

「事件……ですか?」ホームズはそのような由々しき事態が見過ごされることがあるのかと、眉間の皺を深くした。

「それからラドフォード伯爵についてと、同時進行でクロフト卿についても調べを進めてくれ」
パーシヴァルがヒナを利用しようとしているのは明白だ。分からないのはその理由と方法だ。ヒナの登場で、爵位継承権が自分の手から逃げていくことだってあり得るのに。

いや、それはないか……。おそらく、伯爵はヒナを歓迎しない。

「それで……お坊ちゃまはご両親がお亡くなりになった事は知らずに?」

「とても言えなかった。だが、ヒナは尋ねてこなかった。両親がどうなったのかを」

「では、知っているんでございますね」ホームズは束の間目を閉じた。悲劇としか言いようがない。「向こうのご家族も亡くなった事を知らないのでしょうか?」

もっともな疑問だ。ジェームズとてそれに気付かなかったわけではない。

「知っていたら、ヒナを探しているはずだ。コヒナタソウスケについても調べる必要があるな」

「それはわたくしが調べましょう。レディ・アンと出会うきっかけとなった催しがわかれば、彼がどういう身分の者だったのかすぐにわかるでしょう」

執事の人脈を使うという訳か。
大っぴらに調べられないとあっては、それが最善の方法だ。とはいえ、十五年以上も前の出来事がそんなにもすぐにわかるのだろうか?

と、この時ジェームズはホームズの能力を過小評価していたのだが、ホームズは翌日までにはすっかり洗いざらいヒナの父親について調べ上げていた。見事というほかなかった。

つづく


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